ビタミンCを飲むタイミングは大航海時代キャプテン・クックが始めた

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キャプテン・クックは1768年から1771年の帰国まで、
実に2年11ヶ月にもわたり、
第一回目の世界周航を成功させたのでした。

 

当時、存在さえ確認されていなかった、
“幻の大陸オーストラリア”や、タヒチ、ニュージーランドなどを探検し、
想像以上の大きな成果をあげました。

 

その功績により、クックは一躍、英雄となりましたが、
何よりの快挙は、航海中、「壊血病」による死者を出さなかったことにある、
とされています。

 

16世紀から始まった大航海時代。
何年も船上で生活する彼らにとって、
海賊より恐ろしいものが、この「壊血病」でした。

 

貧血、衰弱にはじまり、ある日突然、
出血が止まらなくなり死んでいく、恐怖の病。
当時としては、まったく原因不明で、謎の病気だったのです。

 

インド航路を発見したバスコ・ダ・ガマは、船員180名、
100名をも、この「壊血病」で失いました。

 

これは決して大げさな数字ではなく、歴史上の海難とは、
半数がこの「壊血病」による衰弱が原因、とされています。

 

ところで、帆船の時代といえば、海賊、宝箱、怪物、といったものを、
映画のワンシーンのように想像しますが、中には、
「霧の中を、音も無くさまよう、ボロボロの無人船・・・。」
なんていうのもあります。

 

そうです、この“幽霊船”は、「壊血病」によって乗組員全員が、
死亡したケースであり、実際にあった、ホントのお話だったんですね・・・。
(リアルで恐っ。...( ;))

 

出た! サプリメント1号!

 

イギリス海軍医であった、ジェームズ・リンド(1716年-1794年)は、
高級船員が比較的「壊血病」にかかりにくいことから、
その食べ物に着目しました。

 

1747年5月20日、ソールズベリ号に乗船して海上に出たリンドは、
船内で壊血病患者に様々な食事をあたえ、
いわば、臨床実験を敢行しました。

 

その結果、「野菜や果物などの食物が、壊血病の治療に有効。」
だと分かったリンドは、内科医協会に報告しましたが、
これは無視され、海軍への提言も却下されてしまいました。

 

これをクックがどう思っていたのか、リンドと知り合いだったのか、
お友だちだったのか、風邪をひいてお世話になったお医者さんだったのか、...(^^;)
歴史には残っていませんが、
同じイギリス海軍に属するものとして、知っていたはずです。

 

なぜなら、それから21年後、クックは初めての世界周航で、
全ての船員にあるものを、強制的に食べさせた、からです。

 

その徹底ぶりはすさまじく、食べなかった者に、
ムチ打ちの罰まであたえて、無理やり食べさせたそうです。

 

そのあるものとは、塩漬け発酵キャベツ(ザワークラウト)や、
レモンなどの柑橘類、でした。

 

これこそ歴史上初めての、足りない栄養素を、
意識して補う、Supplement(サプリメント)、だったのです。

 

その結果、クックは3年にわたる長期航海で、
「壊血病」による死者を出さない、という快挙を成し遂げました。

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それから更に24年も経った、1795年になってやっと、
イギリス海軍は、船員全員に、
レモンジュースを飲むことを義務付けたのでした。

 

ちなみにこの頃にはもう、レモンジュースは「壊血病の特効薬」
として知られていましたが、「病気の治療」のためではなく、
「予防」として飲む、ということが、当時としては画期的な出来事だったのでした。

 

その後、このレモンジュースは値段の安い、
ライムジュースにとって変わられ、
今でもイギリス水兵を“limey(ライミー)”と呼ぶのは、
壊血病予防ために、ライムジュースを飲む、という海軍の規則から来ています。

 

(さて、ここで、なぞなぞです。1747年のリンドの海軍提言は、
クックが「費用がかかりすぎる。」と、反対にしたから、却下された、
という、一説があります。

 

後にリンドの学説をクックは実行しているので、これは謎です。
1768年、クックの初航海まで、21年の時間があるので、
その間にクックの考えを変える何かがあったのでしょうか?
誰か知っていたら、教えて下さい。...(^^;) 

 

「明日は未知」の今日

 

現在では、ビタミンCの欠乏が、壊血病の原因である、
ということが分かっています。

 

しかも、3ヶ月から12ヶ月もの長期間、
ビタミンCを摂取しない。という高度の欠乏症でなければ、
その症状は現われないそうです。

 

こう言うと、ついつい、私たちは、
「なんで、昔はそんな事に気がつかなかったのだろう。」
などと、思いがちです。

 

けれども科学の発見は、
「発見されなければ、存在していないのと同じ。」なのであり、
私たちもまた、「あした発見されるかもしれない、
未知の今日を生きている。」という点で、何ら変わりは無いのです。

 

2005年9月現在、「アスベスト問題」など、顕著な例です。

 

18世紀ごろ、キャプテン・クック以前まで、壊血病の予防とは、
「踊りを踊る」、「ワインやビールを水割りで飲む」、
「お酢で、船を拭く」といったものや、「カラシの葉」や
「玉ねぎ」が治療に効果がある。

 

などとされていて、実際、水夫たちは、このように教え込まれていたのでした。

 

また、ジェームズ・リンドがレモンなどで、臨床実験を行った際も、
比較したのは、病院の医師が処方した“練り薬”だったのですが、
これも、「蜂蜜シロップ」に過ぎなかったのでした。

 

当時はキャプテン・クック自身も、
「なぜ、野菜や柑橘類が、壊血病予防になるのか?」
という、明確な理由は知らなかったはずです。
(「ビタミンCの発見」は、その152年後、1920年なので。)

 

にも関わらず、彼は、実験にもとづいたリンドの学説を信じて、
当時の常識や、迷信まがいの情報に踊らされることなく、
みずから踊って見せたのでした。

 

高度情報化社会、といわれる現代です。
あなたはちゃんと、自分の足で踊っていますか?

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